かみさまの命日

ことばが好きで短歌をやるクィア

三軒茶屋での暮らし

銭湯で熱い湯に浸かるとき、脳がじゅわっと溶けていく感覚がして、この瞬間のためにふだん肉体を疲れさせているのかもしれないとおもう。

マンションから下北沢まで30分かけて歩くとき、いつもとは違う行き方をGoogleマップが提示してくれたおかげで、水が流れる小道を歩くことができた。

茶沢通りをきょろきょろしながら歩く。よしもとばななの「もしもし下北沢」に登場する主人公のことを想像する。いつか母親と、この街に住むことができたら。

ゆっきゅんとお揃いのピンク色の髪にしようかな。わたしも歌姫になりたい。

自分が自分でいられない場所、というのは息苦しくて、そんなところに身を置いていたらそりゃあ疲弊するよなとおもう。ふー。無意識にため息を吐いていて、やばいやばい!って焦る。

さみしい夜は、いつもより多くたばこを吸ってしまう。でも吸えば吸うほどさみしくなって、息がしにくくなって、ゆうべは2本にとどめて急いでお風呂に入った。yonigeの「対岸の彼女」を浴室に響かせながら水浸しになる。歌う。yonigeの楽曲を聴くたび、牛丸ありさになりたいと毎回おもう。でも誰も牛丸ありさにはなれないから、私は彼女のことが好きなのだともおもう。

「きみを困らせたくなって交差点で踊るよ」が、私にとっていちばんの愛の歌詞。

さみしい夜はなにをやってもさみしいので、さみしさが加速する前に寝てしまうのが吉。ポッドキャストを垂れ流しにして、ひとの声を聞きながら眠りにつく。

睡眠導入剤を飲み始めて1週間が経った。マイスリー。欠かさず30分ほどで入眠できる。だいたい2時頃に眠って、10時前後に目が覚める。6時に眠って13時に起きていた頃とはからだの調子がぜんぜん違う。落ち込むことが減って、昼間は気分がいいどころか若干ハイになっている。ご機嫌なバイブスはご機嫌な肉体から。

三軒茶屋での暮らしは穏やかで、平凡で、つつましくて、心地いい。平日の深夜は車通りが少なくて、休日の深夜はどうしようもない酔っ払いが散らばっている。平日の昼間は買い物に出かけたり、犬の散歩をしたりするひとびとがいて、休日の昼間は人気のケーキ屋にひとびとがずらりと並ぶ。